健康なうちに備えよう【がん】治療費はどのくらいかかる?
厚生労働省のホームページに設けられた「がんは日本人の国民病」というサイトによると、がんは1981年(昭和56年)から現在に至るまで、日本人の死亡原因の1位になり続けています。じつに「3人に1人」が、がんで亡くなっている計算です。
→https://www.gankenshin50.mhlw.go.jp/campaign_26/outline/
これはもう、わたしたち日本人は「がんに罹患する」と考えて行動したほうが良さそうな数字でしょう。がんは、その種類やステージによっては非常に治療(完治)が困難であり、からだにも経済的にも大きな負担がかかるだけに備えが必要だからです。
しかし、具体的にどのくらいからだや家計に負担がかかるのか? 知りたいところではありますよね。本コラムでは「がんのおそろしさ」「がんの治療費」「がんに対する備え」について、述べていきたいと思います。
「がん」とはどんな病気なのか?
がんに罹患するひとが多いため、わたしたち日本人は非常にひんぱんにがんについて耳にしています。しかし、実際にどのような病気なのかを具体的にわかっていない方もいらっしゃることでしょう。ここではがんについてあらためてご説明します。
<がんとは何か? >
がんはかんたんに言うと、体内で異常細胞が増殖をくり返し、増えてしまう病気です。主意の組織・臓器に浸潤し、離れた臓器にも転移します。罹患すると患者は悪液質になり、がんに栄養が奪われ、がんによる臓器破壊・組織圧迫、毒作用を持つ物質の遊離などによって、最悪は死に至る病です。
■遺伝子の複製ミスからがんができる
わたしたちのからだをつくる細胞は、日々、新陳代謝しています。細胞にはDNAという細胞をつくる設計図があり、通常、新しい細胞はそれにしたがって正しく複製され、古い細胞と入れ替わるしくみです。
しかし、まれに複製ミスで細胞の突然変異が起こります。その際、通常はからだの働きで修正されますが、特定の遺伝子に突然変異が起こると、複製ミス細胞の増殖がくり返されることに。これががん細胞です。
■免疫で対抗しきれないときに増える
ひとの体内では、がん細胞ができている状態がありますが、免疫力などで消すことができます。それでも対抗できないとき、がん細胞は増殖し続け、やがてかたまりを形成。これが、がんに罹患した状態です。
内科的治療においては抗がん剤治療の副作用があり、外科手術でも完全切除の困難さから再発・転移が起こることもあり、完治するのが困難なケースも少なくありません。
がん治療費はどのくらいなのか?
がんという病気のおそろしさを知っていただいたところで、その治療にどのくらいのお金がかかるかを述べたいと思います。
■公的医療保険で3割負担となる
公的医療保険に加入している間は、治療費は3割負担で済みます。
■さらに高額療養費支給制度でも救済はある
公的医療保険適用の上、さらに「高額療養費支給制度」というセーフティネットがあり、収入にもよりますが、自己負担限度額を超える治療には月ごとに限度額が設けられ、平均的な収入であれば10万円を超えない設定です。
■高額療養費支給制度の落とし穴
しかし、高額療養費支給制度は月ごとに限度額があるため、月をまたいだ治療があった場合「間が悪いとき」は対象から外れるおそれもあります。
■先進医療による治療の場合
厚生労働省がさだめる高度医療・「先進医療」によるがん治療を受けると全額自己負担となります。治療費は数百万円におよぶこともめずらしくありません。
特定非営利活動法人 日本医療政策機構による調査資料「がん患者意識調査 2010年」
→http://ganseisaku.net/pdf/inquest/20110509.pdf
この22ページには「がん治療やその後遺症軽減のために支払った費用」が表記されています。100~150万円かかった方々がもっとも多く、最高額で1,000~2,000万円かかっていますので、やはりがんには「特別な備えが必要」でしょう。
がん保険とは?
がんの治療費について書かせていただいたところで、それをフォローするものとして「がん保険」について述べたいと思います。がんは高額な治療費以外にもさまざまな経済的負担がかかりますので、備えは必要不可欠です。
■がんに特化されている
医療保険は病気全般およびケガ全般を保障するのに対し、がん保険はがんに特化されています。
■免責期間が90日間
がん保に新規契約すると、一般的に契約日から起算した90日(もしくは3ヶ月)の免責期間(保障対象外期間)が発生します。体調の不調を感じているひとが「もしかして、がんかも」と薄々気付きながら加入することで生じる、被保険者間の不公平をなくすためです。
■「上皮内新生物」は保障から外れることも
「上皮内新生物」は「上皮内部に留まっている、がん細胞」を指します。浅い部分で留まって浸潤せず転移しないため、保障の対象から外れているがん保険もめずらしくないです。子宮がんや子宮頸がんは相当しますので、女性は上皮内新生物も保障対象になっているがん保険を選択することをおすすめします。
■先進医療や収入減保障の有無もある
全額自己負担となる先進医療や収入減に対する保障の有無もさまざまですので、必要な方はそれが含まれるがん保険かよく確認し、必要に応じて特約・オプションで選択しましょう。
まとめ
「がんのおそろしさ」「がんの治療費」「がん保険の必要性」についてご紹介しました。日本人にとってもはや国民病となっているだけに、備えは当然と言って良いでしょう。
また、その治療費の高さや、付随する経済的負担も大きいことから、がん保険への加入は不可欠だと思います。家族全員加入したいですが、とくに一家の収入を担う世帯主には欠くことのできない生命保険のひとつですね。